つなげば星座になるように
王子が差し出したのは、明日の講義で使う資料だった。


「昼、渡そうと思たんだけど…その、なんというか、意地悪を…ゴメン」


ゴメンも何も、そもそも私が自分でもらいに行けばいいだけの話だ。

わざわざ、このために来てくれたのだろうか?

昼間の様子とは明らかに違う、

その、いつもと同じ王子の優しさに安心する。

だから、怖いけれど、やはり聞いてみることにした。

そんな人が、あんな態度を取るなんて、よほどのことなのだ。


「あのね、私…、やっぱり心当たりがなくて、本当に申し訳がないのだけれど、何やったのか教えてもらえれば…」

「違う!…それは、ぼくの勘違いだったんだ。昼間は、キミに失礼なことを言ってしまって…」

「勘違い…?」

「……ゴメン…」


いつも、イギリス紳士然としている王子が、まるで主人に怒られてしょげている子犬のようで、

なんだか、不覚にもカワイイなんて思ってしまった。


「あはは、なぁんだ、よかった…」

「怒らないの…?」

「だって、もう謝ってくれたでしょ?」


ホッとしたのもあるけれど、

王子が、まだ不安そうな顔をしているので、

“大丈夫だよ”って、

笑ってみせた。

それなのに、


「……キミは、いつもそうだ」


意に反して、王子の表情はどんどん険しくなる。
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