独占欲高めな社長に捕獲されました

 いやそれは、私のセリフ。どうして社長が、他の社員が多そうな時間に屋上に現れたのか。気に入らないランチを持って。

「なんとなくですけど……社長こそどうして、ここに?」

 尋ね返した私に、社長は悪魔のような魅力的な顔で微笑んで返した。

「今日はお前がここにいるような気がしたから」

 彼の言葉に、全身の筋肉が固められてしまった。

 それって、私に会いたかったってこと? そう思っていい?

「お前なら、大きめの握り飯を持っていると思った。売店に行くより、早いから」

 社長室は最上階で、この奥上のすぐ下。売店は一階。そして私は、コンビニサイズではなく、昔話のおじいさんサイズのおにぎりを持っている。女子にしてはたしかに大きめだ。

 なによ、私じゃなくておにぎりを探し求めていたのね。

「ご期待に添えられてよかったです」

 こんなおにぎりマンにドキドキするな、私。

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