独占欲高めな社長に捕獲されました
お父さんは相変わらず行方不明だし、帰って来てくれる予感もしないし、おばあちゃんは歳をとって気弱になってきているし、あの家を守るのは私しかいないって。
仕事だって、昴さんがアドバイスしてくれたから、もう一度頑張ろうと思った。つまらない仕事を自分でやりがいのあるものにしようって。
例のホテルに飾る絵だって、昴さんに認めてもらえるものを必死に探していた。
認めてほしかった。笑ってほしかった。喜んでほしかった。
やっぱりお前が一番だよって。お前の居場所はここでいいんだって。
なのに、こんなのってない。好きだって認めた途端、裏切るなんて。
「……すっげー困るんだけど」
「ううううう……」
「とにかく、帰ろう。な。送っていくから」
松倉先輩は情けない声でそう言い、私の手を引いて歩き出す。私はばらばらに崩れ落ちそうな体をなんとか引きずり、先輩についていった。