独占欲高めな社長に捕獲されました
訝しむ私をちらりと横目で見て、社長は言った。
「お前がどんな絵を選ぶか、興味がある」
「私が?」
「ただそれだけだ。いいか、現地は他のお客様もいるから、写真撮影は禁止。記憶に焼き付けろ」
「は、はい」
ただそれだけって……。私が画家の孫で、多少絵画の知識があるからなのかな。他の社員でも絵に詳しい人なんていくらでもいそうだけど。
【モナリザ】みたいに、スフマートでぼかされた真実を見抜くには、私はまだ社長を知らなすぎるみたいだ。
黙って考え込む私の横で、社長がぼそっと、一層低い声で言った。
「俺が連れていってやるから、他の男と泊まったりするな」
「へ……?」
それって、さっき松倉先輩に誘われていたことを言っているの?
言葉の続きを待って社長の横顔を見つめる。けれど社長は、それ以上無駄なことは話さなかった。