独占欲高めな社長に捕獲されました
会社の利益しか考えない悪役社長は、土日もオフィスでパソコンいじってりゃいいのよ。美術館デートなんかするから、はちあわせるんじゃない。
もやもやと考えながらオフィスのドアを開ける。と、先に着いていた社員たちが一斉にこちらを見たような気がした。と思えば、波が引くように視線を逸らす。
なんだ? 私があまりに綺麗だから見てしまったけど、照れて視線を逸らした? そんなわけないか。
きっと気のせいだと思い、自分の席につく。すると、デスクの上に付箋付きの書類がこんもりと山になって積まれていた。
「なに?」
金曜の夜に置かれたのだろうか。それぞれチェックすると、どの付箋にも私には関係ない案件の雑務処理を頼む、といった趣旨のことが書いてあった。
「いやいやいや」
例のアニメルームが完成し、それほど忙しくないとはいえ、それでも色々と仕事はある。他人様の担当案件の雑務を、どうして私がやらなきゃいけないの? もしや、いつも雑務を処理してくれる派遣さんの机と私の机を間違えた? 三年同じ場所だけど、時にはそういうファンタジーなことが起きるものかしら。