独占欲高めな社長に捕獲されました
おばあちゃんが一人で切り盛りしているこのギャラリーは、お世辞にも繁盛しているとはいえない。
おじいちゃんのファンという人は本当にたまに、ふらりとやってくる程度で、お客さんのほとんどは、おばあちゃんのコーヒーや手作りケーキを求めてやってくるのだった。
そのため、メニューは少ない。飲み物と、『本日のお菓子』、あるいはパイなどの軽食だけ。
それでもおばあちゃんは満足しているようだ。たとえ売れなくてもおじいちゃんの本物の絵を見てもらい、お客さんにお茶を出して少し話ができればそれでいいらしい。
「いつも暇なんだから、そんなに頑張って来なくていいのよ」
手伝いと称して土日に実家に入り浸る私に、おばあちゃんは毎回そう言う。
「来ちゃダメなの?」
「そうじゃないけど……他にしたい事もあるでしょう」
「昨夜も言ったけど、特にないの。仕事で疲れて、帰ったら寝るだけ。休日も寝て終わるだけよ」
私がここに来るのは、高齢のおばあちゃんが心配というのももちろんある。けれどそれ以上に、ここが好きだからだ。
あっという間にフレンチトーストを平らげると、おばあちゃんはコーヒーを出しながら眉を下げて笑った。