独占欲高めな社長に捕獲されました
地下一階についたエレベーターから外に出ると、そこには私の恋人……では決してない、宿敵の西明寺社長が立っていた。
「思っていたより早かったな」
高そうな腕時計を見て言う社長に答えるより先に、周りの様子をうかがってしまう。社長と一緒にいるところを見られたら、また嫌がらせを受けるかもしれない。
しかし周囲に広がるのはがらんとした駐車場。ビルの隣にある立体駐車場と繋がっている、お客様用駐車場だ。その片隅に、社長の外車が置いてあった。
「びっくりしましたよ。どうしてこんなことを?」
普通に駐車場集合で良かったような気がするんですけど……。
「お互い、あまり人に見られない方がいいかと思ってな」
社長はすたすたと車の方に歩いていってしまう。
「誰かに何か言われたんですか」
私はその背中を追いかける。もしや社長、私が嫌がらせを受けたことを知っている?
そんなことを考えていると、社長がクールな表情で振り向いた。
「いいや。ただ社長と秘書でもない特定の女性社員が頻繁に一緒にいたら、下世話な想像をするやつもいるだろう。俺としてもそれは面白くない」