残念系お嬢様の日常
鏡の前で改めて自分の容姿を確認してみる。
「なるほど。実写になるとこんな感じなのね」
少し目尻がつっている大きな目に小ぶりな鼻。黒髪でストレートの髪は胸元まで伸びていて、サイドの髪を顎あたりで切りそろえている。
姫カットってやつだろうか。前髪は眉の下で真っ直ぐ切りそろえられていて、所謂パッツン。
前世の私とは全く違う容姿で、お嬢様って感じだ。
なるほど漫画のあの絵がこうして実写になるとこんな感じなのね。
原作を知っているからか、この顔が底意地の悪い顔に見えて仕方ない。
にへら……と口元を緩めて笑ってみてもどこか違和感。
「うーん……ダメだ」
黒いオーラが背景に見える気がしてしまう。意地悪令嬢恐ろしや。
鏡と向かい合っていると蒼が部屋の扉を開けた。「本当ごめん、ノックし忘れた」と気まずそうに視線を逸らしている。