残念系お嬢様の日常
ワサビクリームって考えるだけでも恐ろしい。私、辛いの苦手なんだけど。
瞳が止めてくれないかなぁと横目で確認してみたけれど、もう諦めたといった様子で突っ込む気すらないみたいだ。
「ワサビクリームってね、好きな人は好きみたいなの! だから、これを機に新たなスイーツと出会えるかもしれないわ!」
「生クリームとワサビって合うの?」
「スミレのお兄様は嬉しそうに食べてたわ」
スミレのお兄様だから味覚が正常とは限らないと思う。
「実はね、これは水谷川家の試作スイーツなの!」
水谷川家ってスイーツ関連の事業もしているのかな。と考えていると、瞳が察したのか「スミレのお兄さんの一人がパティシエ志望なんだよ」と説明してくれた。
「三番目のお兄様は水谷川家の会社には入りたくないみたいなの。お父様は反対しているけれど、こうして反発して家でケーキ作りまくってお父様の部屋に毎日のように運んでいるわ。半分嫌がらせね」