残念系お嬢様の日常



「しかも、その様子を恍惚と眺めて喜んでいるような人でさ」

「それはちょっと変態ね」

「……まあ、でも歪んだシスコンなんだけどね」

見てみたいような、見たくないような。

複雑な気持ちになりながらも、お兄様の話には興味ありませんといった様子のスミレがお皿とフォークを準備している。案外スミレも苦労しているのかな。


ケーキを囲むように三人で正座してフォークを片手に息を飲む。

ワサビクリームのケーキには当たりたくないけれど、どれがワサビクリームが入っているケーキなのが全く見分けがつかない。


「真莉亜、瞳。……準備はよろしくて? いくわよ」

まずはスミレがケーキを選ぼうとした瞬間だった。

普段は私達以外が放課後に訪れることはなかったはずの第二茶道室のドアが濁音まじりの音を立てて開かれた。



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