残念系お嬢様の日常


「私が理由がなければ動かない人と言っているように聞こえるわ。そして、何かを企んでいてほしいのかしら」

「俺の中でのイメージと今の君がちょっと違ってて違和感があるんだよね。もしかしたら、悠に好かれたくて、裏で何かして」

「雨宮様」

雨宮の言葉を遮り、私は人差し指を彼の唇の前に立てる。わずかに目を細めた雨宮は開いていた口を結んだ。

廊下の窓から琥珀色の夕日が差し込み、私たちに降り注ぐ。

目の前のミルクティブラウンの髪が燃えるような茜色に染まり、時間の流れが先ほどよりも緩やかに感じる。


「女は毒を身の内に隠しているものですわ」

人差し指を雨宮の唇に軽く押し当てると、僅かに動かして爪を突き立てる。

雨宮と視線をじっと合わせたまま微笑んだ。



「無闇にそれに触れようとするのは、貴方のようなタイプらしくないのでは?」


前世の漫画にこんなセリフがあったなぁと思い出して、ちょっとかっこつけて使ってみた。

確かこれは漫画の中の真莉亜が蒼にヒロインに嫌がらせをしているのかと聞いてきたときに、女子の問題に口を出すなって意味で使っていたような気がする。





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