残念系お嬢様の日常



「でもまあ……変に疑われているのも嫌なので、雨宮様が知りたがっている真実を教えてさしあげます」

一歩後ろへ下がり、距離をとった。

彼の言う通り、私はただ純粋に浅海さんを助けたわけではない。けれど、何かを企んでいるわけでもない。


「私が浅海くんを庇ったのは、あの中で私が疑われる可能性が一番高かったからです。私が実際にやっていなくとも、誰かに指示してやらせたと思われてもおかしくありません。食堂の件がありましたから」

「あー……なるほどね〜」

「ですから、あの場で動きました。その結果、犯人は私が動いて焦った様子でしたし動いたことは後悔していません。この返答で納得していただけましたか」

「うん、素直でおもしろいね」

どこがおもしろいのかは聞かないでおこう。きっと理解できないから。

言いたいことは伝えたし、これ以上一緒にいる理由はない。

主要人物である雨宮はおそらく私を殺す犯人ではないだろうし、これくらいの棘のある態度をとっても命に危険はないだろう。


……な、ないよね?




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