残念系お嬢様の日常
あまりの筋肉痛の辛さで唸っていたら、お母様に心配されて強制的に学校は休みになった。
大量の湿布を貼られ、湿布臭い私は「筋肉痛にはストレッチですよ」とお手伝いさんに言われたので痛む身体を必死に耐えながら泣く泣くストレッチ。他にも大嫌いな黒酢を強制的に飲まされて、心までボロボロだった。
夕方になり蒼が帰宅したことをしり、ぷるぷるとした足で蒼の元まで行くと縋るようにへばりつく。
「姉さん、何してるの」
「蒼……助けて。黒酢はもう飲みたくないの」
「え、うん」
「ストレッチも痛いの」
「? そう」
半泣きの私を不思議そうに見ていた蒼が私が筋肉痛であることを思い出したのか、「急にはりきって運動するからだよ」と困ったように呟いた。
きょろきょろと辺りを見回すと、蒼は鞄を廊下に置いて再び私の前に立った。
彼が何をするつもりなのかわからず立ち尽くしていると、蒼は左手で私の背中に触れて右手を膝裏まで持って行くと、一気に持ち上げた。
「ひょおおお!?」
「姉さん、声大きい」
だって声を出さずにはいられなかった。
この状況はあれだ。創作の中でしか見たことのない〝お姫様だっこ〟というやつだ。しかも、イケメンな弟にお姫様抱っこって! 何このシチュエーションは!