残念系お嬢様の日常

雨明かり、薔薇は秘密を結う



六月に入り、ニュースで梅雨入りが発表された。

分厚い灰色の雲が空を覆い、先生の声が途切れるたびに窓ガラスに雨が吹き付ける音が聴こえてくる。

雨を嫌いな人は多いけれど、私は雨が降っているのを眺めているのは結構好きだ。


授業が終わり、女子生徒達に囲まれている天花寺をぼんやりと眺める。

さっきの授業の話をされているみたいだけど、聞きたいことがあるなら先生にすればいいのに。

けれど、天花寺は笑顔で彼女達に対応している。人気者は大変そうだ。


「……っ」

眉の裏側辺りに鈍い痛みが走る。

昨夜、自分を殺す相手について考えていて夜更かししたせいで寝不足なのかもしれない。もっと早く寝ておけばよかったな。


「真莉亜様」

こんなタイミングで同じクラスの女子達に声をかけられてしまった。できれば早めに話を切り上げたい。


「先日パーティーで蒼様とお会いいたしましたが、真莉亜様に似てとても素敵な方でしたわ」





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