残念系お嬢様の日常
「雲類鷲さんはいつもなにか一人で難しそうな顔しているよね」
「え……そうですか?」
普段のふわふわとした天花寺を見ていて、勝手に鈍いと決めつけていただけなのかもしれない。
私がわかりやすいんじゃなくて、きっとこの人が周りをちゃんと見ているんだ。だからこそ、この人は漫画の中のヒーローだったんだよね。
……原作よりもちょっとヘタレだけど。
「なにかあったらいつでも言ってね。俺で力になれることがあれば協力するからさ」
実は私前世の記憶を持っていて、ここは漫画の世界にそっくりなんです。
漫画の中だと浅海さんいじめの中心にいて貴方に恋をしているけれど、完全に振られてる立ち位置でした。しかも私誰かに殺されちゃうんですよ。
その犯人わからないので一緒につきとめてもらえますかー?なんて言えるはずがない。