残念系お嬢様の日常
「雨宮様は、怒るべきです。あれは彼女たちが間違っています」
「でも彼女たちが言っていることって嘘じゃないよ。俺は三男だし、兄弟の中で一番出来が悪くて家からも期待なんてこれっぽっちもされてない欠陥品だよ」
整った顔立ちで頭もよくて友達もいる雨宮が欠陥品だというなら、私はどうなってしまうんだ。
原作で意地悪で嫌われ者で、恋も報われず殺されてしまうというのに。
「俺のことを本気で好きになる子なんていないでしょ」
起き上がり、ベッドに寝転んでいる雨宮を見下ろしながらため息を吐く。
「貴方は本気で誰かを好きになったことはあるの?」
「……どうだろうね」
「私はいると思うわ。貴方のことを本気で好きになる人」
適当に言っているわけじゃない。雨宮は自分で思っているよりも、ずっといろいろなものを持っている人だと思うし、本気で好きになる人だってきっといる。
というか、自分がハイスペックイケメンだって自覚をもうちょっと持った方がいいんじゃないの?
「いつか雨宮様も誰かを本気で好きになる日がくるといいですわね」
「君って変な人」