残念系お嬢様の日常
真面目に言ったつもりなのに返ってきた言葉に気がぬける。
変な人ってなんだ、失礼だな。
起き上がった雨宮が何故か私の隣に座り、顔を覗き込んでくる。
「でも、ありがとう」
なにについてのお礼なのかよくわからない。原作を読んでいた私でさえ、雨宮の考えは謎で天花寺や桐生のほうが考えてることが顔に出やすいから接しやすい。
雨宮の手が私の頬にそっと触れた。
自分の置かれた状況にようやく気づき、離れようと身を引くと今度は腕を掴まれた。
「俺、君のこと結構好きなんだ」
「……さっそく軽い感じで言うのやめてください」
「冗談じゃないんだけどな〜」
「結構ってつける時点でどうかと思います」
先ほどまでの悲し気な微笑みは消えていて、通常運転な雨宮が胡散臭い軽いノリで甘い言葉を吐いてくる。
迫れば遊んでくれそうって言われていたのは気の毒だけど、このノリなら女の子取っ替え引っ替えしてそうに見えるわ。
「君はちょっと他の子と違っていて、おもしろいなぁっていつも思ってるよ。一緒にいて楽しい。君といると予想外なことばかり起こる」
「……そうですか」