残念系お嬢様の日常


寝転がっていたため少し乱れた髪を肩の後ろへと流し、雨宮の顔を覗き込むように首を傾ける。


「協力していただきたいことがあるのです」

「それ、脅し?」

「いやだわ。お願いです」

「……君、案外性格悪いね」

訝しそうな顔をしている雨宮に小さな笑いが漏れる。

普段は余裕な様子で飄々としている雨宮がこうして感情の揺れを見せていることがなんだか新鮮だ。


「あらやだ、原作よりはマシですわ」

ベッドから降りて立ち上がり、雨宮と距離をとる。

頭痛薬が効いてきたのか、いつの間にか頭の痛みは消えていて身体が軽い気がする。



「で、協力ってなに?」

「そんなに構えないでください。ちょっと聞きたいことがるんです」

雨宮は眉根を寄せて私のことを胡散臭いとでも言いたげに見つめてくる。

これは原作通りの雨宮譲としての表情というよりも、前世の記憶を持っている雨宮譲の素の表情な気がした。




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