残念系お嬢様の日常


「雨宮様はこの世界が漫画の世界とそっくりだということはご存知ですよね?」

「うん。前世で妹が好きだった漫画だから一応知ってるよ」

「では、最終巻は読まれましたか」

「最終巻?」

私が一番知りたいことを、この人は知っているかもしれない。

けれど、素直に話してくれるかはわからない。だからこそ、強引なこの手段を選んだ。


「私を殺した犯人がそこで暴かれたはずです」

「え……殺した犯人? 少女漫画だよね?」

ん? どうして驚いているのだろう。

原作を読んでいるなら、かなり話題になった話のはず。

まさかヒロインのライバルが死ぬなんて思わなかった読者たちは大騒ぎだった。かなりアンチも沸いたけれど、今までにない展開だと興奮する読者も多かった。

犯人の考察サイトまで立ち上がってたなぁ。


って、そうじゃなくて雨宮の反応はおかしい。嫌な予感がする。


「……まさかご存知ないのですか?」

「ごめん、俺実写化したくらいまでの内容しか知らないんだよね」


実写化したあたりって中盤じゃん!! 私よりも読んでないじゃん!





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