残念系お嬢様の日常
犯人がわかるかもしれないと期待していたけれど、そう上手くいくわけがないか。やっぱり自分でなんとかしなければいけないみたいだ。
がっくりと肩を落として、先ほどまで雨宮が寝ていた開いているベッドに腰をかける。
「君って殺されるの?」
「……ええ。犯人がわかる前に前世で死んだので、私は犯人も動機も知らないんです。なので死を回避するにもどうすればいいのかわからないのです」
前世の記憶持ちの雨宮に聞いたら犯人がわかるかと思っていたけれど、振り出しに戻ってしまった。
「なるほどね。で、犯人を言わせるために録音して俺を脅そうとしたわけだ。前世の記憶があるなんて言ったら、みんなに痛いやつって思われるもんね〜。うわ〜、怖い怖い」
「う……いや、別に本気で流す気なんてなかったですけど、貴方が素直に話してくれる保証もなかったので。知らないのなら、ちゃんと消しますからご安心を」
雨宮の軽蔑するような冷たい視線がちくちくと刺さってくる。
だって、自分の運命が変わるかもしれなかったんだもの。そりゃ必死にもなる。
本当に悪用するつもりは最初からなかったから、ちょーっと脅してぺろっと吐いてくれたらいいなって思ったんだ。