残念系お嬢様の日常


はっきりと答えると「俺ってどんな人間だと思われてるの〜」なんて笑っている。

雨宮はいつもなにを考えているのかわからなかったからやっと内側が見えてきた気がする。

いつから前世の記憶があるのかは知らないけれど、雨宮もいろいろと苦悩しながら過ごしてきたのかもしれない。


雨宮って原作だと人気はあるけれど、ヒロインに想いを寄せていても叶うことはないだろうし、家でも当たりが強くて、ちょっとかわいそうな立ち位置なんだよね。


「では、協力してくれますか? ワトソン君」

「もちろんだよ、ホームズ」

かなり不安な相棒だけど、一人よりで悩んでいた時よりも心細くない。

誰にも言えない秘密があることはもどかしくて、常に何かが胸につっかえているみたいだった。



「でも君はホームズというよりも、ちょっと残念なお嬢様って感じだよね」

「どうせお嬢様っぽくないですよ」

雨宮は私の手を持ち上げて、甲にそっと唇を落とした。

突然の柔らかな感触と熱に驚いて、びくりと身体を震わせる。


「なっ、なななにして!!」




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