残念系お嬢様の日常
東校舎三階の秘密

ハプニング発生



ニュースで真夏日だと言っていたのが嘘のようだ。

学内は冷房のおかげで涼しいので夏でも快適に過ごせる。


教室の中は明日からの夏休みをどう過ごすかという会話で賑わっていて、私は話題を振られるたびに曖昧に微笑んで自分の話題から遠ざけていた。


……みんな補習はないのだろうか。いや、数名くらいはいるよね、きっと。

実をいうと私も英語だけちょーっとだけ悪くて補習になってしまった。まあでも、数日行くくらいだろう。


会話に加わることなく一人で本を読んでいる浅海さんも、女子に囲まれている天花寺も頭いいだろうから補習なんてないだろうな。

でも私だって今回ちょっと調子悪かっただけだしね。……うん。


「十一号、どうしたら手に入るのかしら」

「文芸部の方にお願いはしてみたのですけど、増刷は未定とおっしゃっていましたわ」

近くにいた女子たちから十一号という言葉が聞こえてきて、机の横にかけているカバンに視線を移す。

そういえば、昨日の放課後にスミレに勧められた冊子をカバンに入れたままだったな。



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