残念系お嬢様の日常


「この毛はおそらく犬の毛よね。人の毛とは質感が違うもの」

「え」

「蒼のカーディガンについていたわ。この家ではつくはずないでしょうし、てっきりどこかで犬と触れ合ってきたのかと思ったわ」

「…………よくわかったね」

あっさりと認めた蒼にドヤ顔をかまして、「私はお見通しよ」と微笑む。ちょっと探偵になった気分だ。姉さんの推理力すげーってなった? 驚いた?


「……怒らないの?」

「え、怒る? どうして?」

蒼が犬と触れ合ったからってどうして怒る必要があるのだろうか。


「だって姉さん、犬嫌いでしょ。小さい頃すごく嫌がっていたし」

えー! 必死に隠れて動物と触れ合っていた理由は真莉亜にあったのか!




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