残念系お嬢様の日常


「希乃愛? どうしたの、そんなに慌てて」

彼女、五辻希乃愛は久世の従兄妹であり、私によく懐いている。

一つ年下なので中等部の希乃愛が高等部へ来ているのは普通ではありえないことだ。


それにこの慌てている様子だと何かあったに違いない。嫌な予感しかない。やだよー、変なことはおきないでおくれ。


「あの……真莉亜様、あんなことやめさせてください!」

「あんなこと?」

「いくらあんな画像が出回っているからといって、浅海先輩を退学まで追い込もうとするのは……」

「待って希乃愛、話が見えないわ」


まさか希乃愛の口から浅海さんの名前が出てくるなんて。まだ関わったことないはずなのにどうしてだろう。


「画像とはなにかしら。それに追い詰めるってどういうことですの?」

「へ?……その、最近出回っている浅海先輩と天花寺様が抱き合っている画像の件ですわ」

はい? 天花寺を見遣ると本人も相当驚いているらしく、硬直している。

二人が抱き合ってる画像ってなに? そんなの私知らないし、そこからどう追い詰めることになっていくんだ。




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