残念系お嬢様の日常
それに私が浅海さんを退学に追い込めと言っているなんて噂が流れているわけだし。
まあ、それならもっと早く真偽を確かめにきてくれよって感じだけど。
「それより早く行かないと」
私に耳打ちしてきた雨宮と視線を交わらせる。そうか、この後の展開を防ぎに行かないと。
「希乃愛、また後で話しましょう。プールへ行ってくるわ」
人が疎らになってきたので今ならいけそうだ。走り出す私の後ろから複数の足音が聞こえて来る。どうやら、スミレと瞳、天花寺も来てくれるらしい。
雨宮は誰かに電話をしているようで、目が合うと頷いてきた。おそらく彼には彼なりの考えがあるんだろう。
「雲類鷲さん……っ、足はやっ!」
「スミレ、大丈夫?」
「うぎゃっ」
何かが落ちるような音が聞こえたので再び振り返ると、スミレが見事にすっ転んでいた。
「真莉亜っ、行って! スミレの屍の上を跨いで先に、進んで……っう……」
スミレ、上を跨いだら逆走することになってしまうんだけど。それを言うなら屍を超えてだよ。
まあ、スミレには瞳がいるだろうし大丈夫だろう。それより今はプールへ急がなくっちゃ。