残念系お嬢様の日常
校舎から少し離れた別館にある花ノ宮の温水プールは終業式が行われるホールとは逆方向で人目につきにくい。
原作では確か真莉亜にいじめを焚きつけられた子たちが浅海さんをプールに突き落とすんだ。
そこに彼らが助けにくる。だけど、今回少し状況が違う。呼び出したのは高等部の生徒ではなくて中等部の生徒。
助ける予定のヒーロー達はなんかあてにならないし、覚えのないいじめを私がしているってことになっているのも気にかかる。
一体なにがどうなってこんなことに……。
ドーム型の建物の前までたどり着き、少し乱れた呼吸を整えるように深く息を吸った。
ガラス製の重たい扉を開けて、中に入るとプールサイドに人が見えた。
あれは中等部の女子らしき三人組と、詰め寄られている様子の浅海さんだ。
それになにやら危なさそうな不穏な空気だ。浅海さんのすぐ後ろにはプールがあって、あと二歩くらい下がれば落ちてしまいそう。
「なにをしているの」