残念系お嬢様の日常


桐生がものすっごく機嫌の悪そうに三人組を睨みつけていて、その横で天花寺が「事情はちゃんと聞かせてもらうからね」といつになく厳しい声で言っていた。

まさか天花寺たちが出てくるとは思わなかったのか三人組は完全に怯えきっている。

彼女たちにはいろいろと聞きたいことがあるし、事情を聞くなら私も同席したいな。でも先に着替えたい。


目があった浅海さんが私の目の前にしゃがんで今にも泣きそうな表情で頭を下げた。


「本当にごめんなさい!」

「貴方が落ちなくてよかったわ」

「雲類鷲さん……助けてくれてありがとう」

浅海さんがここまで弱っているのは珍しいかもしれない。いつも彼女はあまり動じずに平然としていることが多かったから。

ヒロインの浅海さんを悪役の私が助けるなんて変な話だけど、できるならいじめなんてない楽しい学校生活をお互い過ごしていきたい。

そのためには私が浅海さんを退学に追い込もうとしているなんていうデマをなんとかしなくっちゃ。




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