残念系お嬢様の日常
「あと、その……うまく言えないんですけど、雲類鷲さん気をつけてください」
「え? 浅海くん、それって」
言葉の真意がわからず、詳しく聞こうとしたときだった。
「雲類鷲さん」
名前を呼ばれて顔をあげると、真っ白なバスタオルを持った雨宮が歩み寄ってきた。
「大丈夫? 風邪引く前に着替えた方がいい」
姿が見えないと思っていたけれど、タオルを借りてきてくれてたんだ。
少し息が上がっている気がする。もしかしたら話を聞いて急いで来てくれたのかもしれない。
ふかふかのタオルを私の頭からかけると、雨宮は「後は任せて」と耳打ちしてきた。
「雨宮、様?」
「俺はちょっと探ってくるから、今は傍にいられないけど。あとで連絡する。……それと守れなくてごめん」