残念系お嬢様の日常

お嬢様の落し物



翌日、筋肉痛による痛みが少し和らいできた。とはいってもまだ痛いけど。

前世の記憶が戻って初めての登校で緊張してきた。うっかりとヘマしないだろうか。言葉遣いにも気をつけないと。


クローゼットから制服を取り出して、丸襟のシャツの上にワンピース状のグレーのスカートを着る。その上からウエストよりも丈が短いボレロを着て、桃色のリボンを結んで準備万端。

すごく可愛い制服で着ているだけで先ほどの不安が払拭されて、テンションが上がってくる。


朝食の席に行くと、既に制服に着替えている蒼とお母様とお父様が揃っていた。挨拶を交わして、席に着くと用意してもらったクロワッサンにバターをつけて食べる。

お、美味しい。焼きたてなのか温かくてふわふわだ。昨日は黒酢をたくさん飲まされたことで気分が悪くなって朝は食べられなかったんだよね。


お皿にのったトマトやブロッコリー、スープとスクランブルエッグ等ぺろりと平らげるとお母様が驚いた様子で目を丸くしている。


「あら、真莉亜さん。今日はよく食べるのね」

「え」

「いつもはこんなに食べれないと言って残しているでしょう」


そうだった。真莉亜は朝はいつもあまり機嫌が良くなくて、朝食はほとんど口をつけないんだよね。もちろん今の私も真莉亜なんだけど、前世の記憶を思い出してからは趣好や考え方が大分変化してきている。

微笑んで誤魔化しつつも、食後の紅茶を飲みほす。残したらもったいない。朝はしっかり食べたほうが元気が出るしね。




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