残念系お嬢様の日常


「あら……真莉亜様もそれを」

「え? ああ、初恋想のことかしら。スミレに貸してもらったのよ」

「今人気のようですね」

どうやら高等部だけでなく中等部にも人気のようだ。スミレ効果もあるだろうけれど。

それに普段は日の目を見ない文芸部が一気に注目を浴びて、過去の作品も読みたがっている人も多いらしい。

初恋想は何人かでテーマを決めて書いた短編集なので、お気に入りの人ができるとその人の過去の作品も読みたくなるとかスミレと浅海さんが言っていたな。


「真莉亜様はもう読まれました?」

「まだよ。これから読もうと思っているの」

「そうですか。私は有罪のメシアと月光の少女が好きでしたわ」

希乃愛はすでに読んでいるようで思い出すように視線を上げて微笑んだ。

彼女が口にしたタイトルは私が気になっていた一つが入っていたので、その作品から読んでみよう。

気になっていた理由は別にあるのだけど、おもしろいのなら楽しみだ。


「真莉亜様はレケナウルティアを知っていますか」




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