残念系お嬢様の日常


「れけな……?」

なんだって? 初めて聞いた言葉で首を傾げる私を見て、希乃愛がいっそう笑みを深くした。


「レケナウルティアとは花の名前なんです」

そんな名前の花、聞いたことないなぁ。まあ、私はもともとあまり花には興味がないからかもしれないけれど。


「その名前の短編がこの冊子のどこかの号にあったはずなのですが、それも私はお気に入りです」

「教えてくれてありがとう。今度探してみるわね」

スミレなら昔のも持っているかもしれないなぁ。今度聞いてみようかな。まあ、もう夏休みに入るし、次に会うのはいつになるかわからないけど。


部屋の扉がノックされ、「姉さん、入るよ」と蒼の声が聞こえてきた。


扉を開けると、珍しくしかめっ面の蒼が親指を立てて自分の背後を指差した。



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