残念系お嬢様の日常


前世の記憶が久世と出会う前に戻ってたら、もう少し関係はマシだったかもしれない。まあ、仲良くはなれないと思うけど。


「私が天花寺様たちに近づく口実で浅海くんを助けたと思っているの? だとしたら、本当貴方って私のことをこれっぽっちもわかっていないわ」

「自分で前に言ったんだろう。婚約者は俺なんかじゃなくて天花寺のような男がよかったと」

え、そうだったっけ。

記憶が戻る前だろうけど、その頃はまだ彼らと関わっていないし、おそらく遠目で天花寺を見ながら「素敵だわ〜」と淡い憧れを抱いていたのだろう。で、喧嘩したときにでも嫌味ったらしく言ったかもしれない。


「とにかく私はたとえ婚約者が貴方だろうと天花寺様だろうと、断りたい気持ちは変わりません」

「ま、真莉亜様!?」

私と久世の結婚を望んでいる希乃愛はショックを受けた様子で青ざめて手で口元を覆っている。

希乃愛には悪いけれど私は久世と結婚をする気はないし、無事に死亡フラグをへし折れたら今度は婚約問題を解決する気だ。




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