残念系お嬢様の日常


「じゃあ、なんで浅海奏に構うんだよ。そんなにあいつを気に入ったのか」

「明らかに浅海くんが嫌がらせを受けるとわかっていて、放っておけというのですか」

「……あいつとお前じゃ、障害が多いと思うぞ」

この久世野郎は、なにか盛大な勘違いをされている。

久世は浅海さんを男だと思っているから、私が好きにでもなったのだと思っているようだ。だから、今回身体を張って助けたと。


「光太郎!」

希乃愛の普段よりも厳しめな声に久世は眉根を寄せてため息を漏らした。

どうやら彼女には勝てないらしい。


「真莉亜、俺はお前とは性格は合わないが一応心配はしている。あんまり無理をするな」

心配、ねぇ。私には厄介ごとを起こさないでくれと言いたいように感じる。

私が学院内で派手な行動を起こして伯母様の耳に妙な噂でも届いたら婚約者である久世にも迷惑がかかるかもしれないし。





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