残念系お嬢様の日常
蒼と一緒に雲類鷲家の車で登校をした。ここの生徒は基本的に登下校は車だ。
校門の前で立ち止まり、息を飲む。漫画でも雲類鷲真莉亜としても見てきた花ノ宮学院。
重厚感のある門を進んでいくと石段が左右に道を造り、その中心部には噴水がある。何故学校に噴水があるのだろう。水がもったいない。
その先に進むと、建物の中心部が丸く開かれていて通り道になっており何故か女神のような銅像と、ここにもまた噴水がある。しかもその頭上にはステンドグラス。この建物は職員室などがある場所で、中等部は左側に曲がった先にある建物だ。
某テーマパーク以上の広さはあるであろうこの学院は初等部、中等部、高等部、大学部がある。元庶民にとっては学校とは思えないほどの広大で豪華な造りだ。
まあでも、私は二つの記憶があるのでちゃんと今まで行ったことのある学院内の場所や会ったことのある人の顔や名前はしっかり覚えているので、態度や言葉遣いなどでヘマをしなければ大丈夫なはず。
「じゃあ、姉さん。僕はこっちだから」
「ええ、道中お気をつけて」
「え?」
「……え?」
あれれ、間違えた?
こういうときっていつもなんて言っていたっけ。二つの記憶が存在しているはずなのに、前世の記憶の影響なのだろうか。言葉遣いが時々妙な感じになってしまう。
蒼は訝しげにしながらも、片手を振って男子校舎へと消えていった。