残念系お嬢様の日常
『探ったり疑うのは俺の役目でいいよ。君はなにか気づいたことがあれば報告して』
「え、でも……」
『協力するって言ったでしょ。それに今回のプールの件、相手のやり方は気に食わない。犯人を暴こう』
雨宮が今どんな顔をして話しているのかはわからないけれど、電話越しの彼の声はいつもよりも優しく感じて安心感をあたえてくれる。
もしかしたら私がショックを受けていることに気づいているのかもしれない。
『それと無理に取り繕わないでいいよ〜。様もつけたくなければいらないからさ』
「ありがとう、雨宮」
『うん、切り替え早いね』
ほとんど同時にお互い吹き出して笑った。
重たくなった空気を少しでも和らげるように雨宮は言ってくれたのかな。案外いい人なのかもしれない。
そのあと他にも調べてみるよと言ってくれた雨宮と少しだけ他愛のない話をしてから電話を切った。