残念系お嬢様の日常
ダンベルは犠牲になった
女子高生の夏が来た!
青春真っ只中の女子高生である私にとって夏休みというのは貴重なイベント。
……のはずだったけれど、私の夏は苦い出来事から始まってしまった。
そろそろ足が痺れてきて正座をするのが辛くなってきた。けれど、残念ながらお説教はまだまだ続きそうだ。
「トレーニングルームにダンベルがたくさんあっておかしいと思っていたのだけれど、誰があんなに購入したのかしら。ねえ、真莉亜さん」
「お、おほほ」
「どうしてこんな物が必要なのかしら。ねえ、真莉亜さん」
「うほほほ」
お母様が笑顔で怒っている。普段は穏やかな人だけれど、怒ると家族の中で一番恐ろしいんだよね。
————そう、ついに私が鍛えていることがお母様にバレてしまったのだ。
何故バレてしまったのかというと、片手にダンベルを持ちながら廊下を歩いていた時に前方から出かけたはずのお母様がやってきたからだった。
急遽用事がなくなっただなんて聞いてなかった私は完全に気をぬいていた。