残念系お嬢様の日常
おまけに彼女は『花ノ姫』の一員で、『白百合の君』や『白百合の瞳様』あとは何故か姫のはずなのに『白百合の騎士』とか色々な呼び方をされている。
そうそう、『花ノ姫』と呼ばれている女子生徒達にはそれぞれ花名がつけられているのだ。私の場合は『紅薔薇』だ。
「真莉亜さん、ごきげんよう」
「瞳様、ごきげんよう」
特別親しいわけではないけれど、瞳様はさっぱりとしている性格なので付き合いやすい。話し方もお嬢様口調というよりも少し砕けているし。けど、ひとつだけ気になることがあるとしたらあの噂なんだよね。
「真莉亜様、瞳、ごぎげんよう」
鈴の音のような可愛らしくて綺麗な声が聞こえてきて振り返ると、そこには小柄でふわふわとした金色の髪の女の子が立っていた。
彼女の名前は、水谷川(みやがわ)スミレ。クウォーターらしく、髪の毛は地毛なんだとか。その名の通り、『花ノ姫』での名前は『菫の君』。
「ごきげんよう、スミレ様」