残念系お嬢様の日常



「僕は拓人がなにに喜ぶのかは知らない。知っているのは、〝アイツ〟が喜ぶことだけ」

……アイツねぇ。彼の言うアイツとは桐生拓人のことではない。



「早く食べないと私が全て食べてしまいそうなのですがよろしいかしら」

「よろしいわけないだろ! なに人が話してる目の前でリスみたいな顔して食ってんだよ! 食いしん坊かよ」


いけないいけない。

こんな風に食べるとお母様に叱られるから気をつけていたのだけれど、つい頬張ってしまう。


「なんなのアンタ。おい、米ついてるから。ちっげーよ!右!」

あ、本当だ。口の右側にご飯粒ついてた。

案外この人口悪いし、乱暴だ。まあでも、こういう相手の方が私は楽かもしれない。

おほほうふふと会話するのは時々疲れちゃうからね。


特に花会は地獄だ。お嬢様同士の腹の探り合いがね、胃がキリキリする。




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