残念系お嬢様の日常
「正直だな」
景人は自嘲気味に笑いながら箸を置いた。
ゆっくりと何かを思い出すように視線を巡らせて、小さなため息を吐くと私へと視線を戻す。
「僕にとっては弟。それ以上でもそれ以下でもない」
つまりそれは彼にとって大事な家族ということ。
溝ができて、決して仲がいいといえる関係ではなくても、ずっと変わらず家族なのだ。
「きっと僕らよりもアンタの家の方が姉弟なんだろうな」
「兄弟のあり方はそれぞれですので、なにが正解とかは」
言いかけたところで妙な足音と「ぎゃー!」という不穏な叫び声が聞こえてきて、景人と顔を見合わせる。
何事かとカウンセリングルームを出て、廊下を覗くとそこには————言葉を失うような光景が広がっていた。