残念系お嬢様の日常
アンタは自分がここにいることを他の人たちに知られたくないんだもんね。
そりゃ、いかにも厄介そうなスミレたちに見つかる前に逃げたいだろう。だから、すぐに壁に隠れたんだろうし。
だけど、ここでアンタを逃すわけにはいかない。
足音が近くに聞こえ、振り返ろうとしたときだった。
「ぶえっ!?」
「っ!」
背後から勢い良くタックルされ、景人の首根っこを掴んだまま共倒れしていく。
その数秒の間に私の視界は薄くて白い何かに覆われた。
「ぎゃー! 真莉亜!!」
虫とり網を頭からかぶり、床に倒れる私と下敷きになっている景人、そしてすぐ側にぷるぷると震えながら青ざめている〝幽霊〟が白く覆われた視界の中で薄ぼんやりと見えた。
……スミレ、許さん。