残念系お嬢様の日常
カウンセリングルームで椅子に腰掛け、足と腕を組みながら床に正座する三人を見下ろす。
「えっとぉ……その、スミレは本当に幽霊がいると思っていたわけではなくて、みんなを怯えされている人を懲らしめようとしていたの」
「なるほどなるほど。思いっきり楽しみながら懲らしめようとしていたのね」
その結果虫とり網を振り回し、私の頭を捕獲したと。
うん、許さんスミレ。
「ごめん、私も止められなくて……」
そんなことを言う瞳の手には虫かごがあったけど、それ幽霊だろうと人だろうと入らないからね。
いつもはスミレの暴走を止める瞳が一緒にボケてくることに驚きだ。疲れているのかもしれない。労ろう。
で、残るは一人。
「こんにちは、幽霊さん」
そもそも幽霊なんて噂を立てさせた彼女がこの騒ぎの元凶だ。
私の言葉になんとも言えぬ表情で視線を泳がせている彼女に、わざとらしい作り笑いを向ける。