残念系お嬢様の日常


「まさか噂の幽霊が貴方だったなんてね、東雲流音様」

「……紅薔薇の君」

幽霊の正体はパペットちゃんこと、東雲流音。

彼女は桐生兄弟の幼なじみだ。


そして、彼女はカウンセリングルームにいる桐生景人の存在を隠すために幽霊の噂を立てて、人をあまり近づけないようにした。

好奇心旺盛なスミレには逆効果だったけど。



「お主らは一体どういう関係なんだ?」

彼女の手にはまっているウサギのパペットが私と景人を交互に見てきた。

その様子に景人があからさまに嫌そうに眉を顰める。


「……いい加減その人形やめろよ」

景人の漏らした言葉の意味は、彼女が自分の口で喋っているというよりも人形が喋っているようにしていることについてだろう。

幼なじみの彼は彼女がパペットを持ち歩き出した理由を知っているのかな


パペットちゃんは景人の言葉が届いていないのか、それとも届かないフリをしているのか視線を合わせず、何も発しなかった。





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