残念系お嬢様の日常
「彼と私は偶然出会ったのよ」
「……偶然、な」
「それで一緒にお昼を食べていたの」
「一緒にお昼、な」
「……」
いちいち隣でうるさいんですけど!
私は何も間違ったことは言っていません。
文句がありそうな景人をひと睨みすると睨み返された。ひぃい。
「そうか。この部屋に近づけまいとしていたが、幽霊作戦は無駄だったのだな」
がっくりと肩を落とすパペットちゃんの横でスミレが「人騒がせだわ!」と言っているけれど、一番人騒がせなのはスミレだ。
どんだけ私が振り回されていることか!
「あの、桐生景人さんですよね」
瞳が警戒しているような眼差しを向けると、景人は目を細めて口元を歪めた。
一言で表すと悪い含笑い。