残念系お嬢様の日常
「スミレ、どうぞ」
「その本に載ってるクリスマス二段ケーキがいいと思うわ!」
「真夏だし、誰が食べたいのか明白なので却下です」
「うぐっ」
なんで真夏にクリスマスケーキ作ってお祝いするんだ。
桐生の誕生日のためのだって言ってるのに。スミレの魂胆がわかってきた。
桐生のためじゃなくて自分が食べたいもの提案する気だな。
「はい」
続いて手を挙げたのは瞳だ。
「この誰でも簡単柑橘ゼリーはどうかな」
「瞳、その本に〝小学生〟と書いてあるけれど」
瞳なら無難な提案をしてくれるかと思って安心していたけれど、手に持っている本が明らかに小学生用。しかも、『不器用さんも失敗しないよ!』って書いてある。
私たちのレベルに合わせるとそうなるってことなんですか。
確かにこのメンバーだとちゃんとお菓子作り不安になってくるけどさ。