残念系お嬢様の日常



「流音様、彼の好きなものってないんですか?」

「好きなもの……和菓子よりも洋菓子派でケーキよりもクッキーが好きだと思うぞ」

ケーキよりもクッキーが好きって、誕生日に贈るものとしては困るなぁ。


「それとたっくんは庭の植物を気に入っていたな」

「た、たっくん?」

「なんだ?」

「い、いえ……」

たっくんって、あの桐生がたっくんって!

仏頂面のあの人がそんな可愛らしいあだ名で呼ばれているとは知らなくて、かなりの衝撃を受けた。

スミレなんて「うぷぷ」と悪い顔して笑ってるけど、それからかったら桐生に倍返しされるよスミレ。


「あとは幼い頃、一緒に絵を描いて遊んでいたこともあったな。このうさぎのためのお家を一緒に絵に描いたり」

「それだわ!」

お家で閃いた。私はとっておきなものを閃いてしまった。





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