残念系お嬢様の日常
「ちなみに本物は部屋に置いてある。……使用するための人形は同じタイプのものを大量にもっているんだ」
「そ、そうですか……」
「……観賞用、重運び用、一緒に眠る用がある」
どおりでずいぶんと綺麗だなと思いました。
というか、同じ人形を大量に用意って流音様も結構ぶっ飛んでるな。
「二人は……また話すようになるだろうか」
「桐生兄弟のことですか?」
「ああ……けーくんは、不器用だから。でも……優しいから、心配で」
なんだ、そっか。
桐生拓人のことを特別視しているのはわかりきっていたけれど、兄の景人のことだって大事に思っていたんだ。
あの様子だと、流音様は拓人の方を大事にしていると思っているみたいだし、本人は気づいていないのかもしれないな。
「景人様も今のままではいけないと思うから、笑わせてなんてお願いしたのだと思いますよ。ですから、きっとずっとこのままなんてことはないです」
これが変わるきっかけになればいいけど。
さすがに私の原作にはない先のことはわからない。
けれど、これは流音様自身も変わるチャンスなのだと思う。
「紅薔薇の君、ありがとう。……がんばる」
「ええ。流音様、女は度胸ですわ」
「……愛嬌じゃないのか?」
そうでした? おほほ。