残念系お嬢様の日常
そういえば、紅薔薇の君もたっくんみたいに話すのはゆっくりでいいと言ってくれたな。
けーくんもなんだかんだ私が自分の口で話すときは、黙って聞いてくれて急かしたりしてこない。
けれど、わかっている。
世の中にはそういう優しい人たちばかりではない。
人よりも話すことが苦手で、言葉がうまく出てこない人間に苛立つ人だっている。
誰もが待ってくれるわけではない。
知ってるよ。
私には周りを変える力はない。
できることは、自分を変えることだけだ。
「……女は度胸、か」
自分の口でたっくんに伝えなければ意味がない。