残念系お嬢様の日常
出た。ハルトさんの清々しいくらいの意地悪笑顔。
スミレのお兄さんたちの中だと、ハルトさんが一番まともそうだけど実は結構厄介だ。
「さあ、そこに座って? それでお願いしてね」
「お、お願い?」
「〝お菓子作りを教えてくださいハルトお兄様〟って言えるよね?」
「なによそれ!」
ビデオカメラを片手にセットして、スミレに向けているハルトさんはとっても楽しげだ。
「じゃあ兄さんたちに話してもいいのかな?」
「くっ」
屈辱に顔を歪めながら。
「お願いしますぅーハルトおにーさまぁ」
とか言ったけれど、リテイクを食らっていた。