残念系お嬢様の日常


約束の一時半が迫り、私たちはそれぞれの衣装に着替えた。


流音様以外は黒子の衣装に身を包み、顔はバレないようになっている。

今日は私たちは存在感ゼロの背景なのだ。お嬢様オーラは消さないといけない。


ちなみに桐生を連れてくる役割は、雨宮に頼んだ。

雨宮は「俺一人だと拓人が怪しみそうだから悠と浅海さんたちにも協力してもらうよ」なんて言っていたのでおそらくは四人でやってくるだろう。

まあ、誕生日会は人数が多い方がいいしね。



「そろそろよ! 各自スタンバイ!」

私はドアの右側、スミレは左側にしゃがむ。景人と瞳はお菓子の家を見えないように布で隠している係りだ。


足音が聞こえてきて息を飲む。きっとこれは彼らのだ。



ドアが開いた瞬間————





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