残念系お嬢様の日常
効果音で表すなら、『カスッ』っという虚しい音がした。
鳴らすはずだったクラッカーの引っ張る白い紐がちぎれてしまい不発に終わったのだった。
入り口には訝しげにこちらを見ている桐生拓人。
その後ろにいる天花寺のきょとん顔が隙間から見えた。
スミレはなにやっているのかと思いきや、ワンテンポ遅れてクラッカーが鳴った。
「うぎゃ!」
自分で鳴らしたクラッカーの音に驚くスミレが尻餅をついた。
……黒子の役割を果たさず、目立ってしまっている。
ここは私がどうにかしなくては!
クラッカーをこじ開けて、中のカラフルな紙をわさっと桐生に向かって投げる。
「パーン!」
裏声を使ってクラッカーになりきった。
投げた紙の一部が桐生の前髪に引っかかり、青い長い紙がビローンとぶら下がる。
横目でギロリと睨まれた。
ひぃいい! ごめんなさい! わざとじゃないんです!